
そろそろ頃合いな気がしてスパークプラグの交換を行った。
せっかくなので画像をたくさん使いながらスパークプラグ交換の方法についてまとめておこうと思う。
スパークプラグとは
スパークプラグ(または「点火プラグ」。両方とも同じ意味だが本稿では「スパークプラグ」で統一しておく)とは、ガソリンエンジンにおいては必ず必要になる重要部品だ。
エンジン内の圧縮された混合気に火花(スパーク)を飛ばして点火させることで、ガソリンを燃焼させて動力を発生させるのだ。
このスパークプラグの交換を怠ると、以下のような症状が出ることがある。
- アイドリングが不安定になる
- エンストすることがある
- エンジンのアイドリングが苦しそうに感じる
- 加速が悪くなる
- エンジンがかからない
もっとも、近年は超寿命タイプ(両貴金属タイプのもの)のスパークプラグが増えてきており、4万~10万キロも無交換でOK、というものが出てきているので、新車を購入する際にはどんなスパークプラグが屠られているかは確認をしておいたほうが良い。
なお、近年増えているディーゼルエンジンを搭載している車にはスパークプラグ自体が存在しない。スパークプラグがあるのはあくまでもガソリンエンジンのみだ。
管理人のJB23の場合は、スパークプラグは普通のイリジウムタイプのものを利用している。理由は単純に安い上に時々は自分でボンネットを開けたほうが良いと思っているからだ。
スパークプラグ交換に必要な工具
スパークプラグ交換自体は簡単ではあるが、これまで車の整備を全くやったことがない方にとってはいくつか工具を用意しておく必要があるので、まずはそこから確認しよう。
必要な工具① プラグレンチソケット(16mm)
★★★★★(絶対に必要)
スパークプラグの交換を行うのであれば、絶対に必要なのがコイツ。
スパークプラグを付け外しする際に必ず利用するソケットレンチだ。
ちなみに普通のソケットレンチとは全然違うので、必ず購入が必要。
必要な工具② ラチェットハンドル
★★★★☆(無いと大変)
ラチェットハンドルは個人的には一番最初に買うべき工具の一つだ。とは言え無くてもまぁ作業はできるので無くても良いのだが…無い方はぜひ購入いただきたい。
ラチェットハンドルとは、ソケットレンチと呼ばれる工具と組み合わせて利用するもので、このラチェットハンドルがあるとボルトやナットの取り付けと取り外しが非常に便利になる。結果的に車の整備が楽しく感じられる代物だ。
スパークプラグ交換以外でも色々と使える。管理人が利用しているのはラチェットハンドルとソケットがセットになっている以下だ。
必要な工具③ エクステンションバー
★★★★★(絶対に必要)
先ほど紹介したラチェットハンドルに取り付けて利用する。
エクステンションバーがあることで、手が届きにくい場所にあるボルトやナットの締め付けと取り外しが簡単にできるようになる。
スパークプラグ交換時には、コイツが無いとプラグレンチソケットがスパークプラグに届かない。そのため絶対に必要なアイテムだ。
やはり管理人的には上記のラチェットハンドルとソケットセットを購入することを激しくおすすめしておきたい。この中にはエクステンションバーも3種類入っており、このエクステンションバーで十分だ。
ちょっと高いが一生物だ。
必要な工具④ レンチ(8mm、10mmの2種類)
★★★★☆(無いと大変)
単純なレンチも必要。
レンチについてもそもそも一番最初に購入すべき工具の一つだ。
安いものでも良いが、管理人はSIGNET(シグネット)というブランドのラチェットレンチも利用している。ラチェット付きのレンチを始めて利用した際には大変感動したものだ。管理人激推し。
安いもので言うとSK11というブランドの工具がなかなかの精度と使い勝手なのでおすすめだ。
必要な工具⑤ ドライバー(プラス、マイナス両方)
★★★☆☆(無くてもどうにかなるが持っておいた方が良い)
実は車の整備にはあまりドライバーを使うことは無かったりする(ドライバーを買うくらいならラチェットとソケットレンチセットを買った方が絶対に良い)。
それでもあれば車以外のDIYでも便利だし、まぁあって良いだろう。
おすすめは以下。少し高いが、おそらく人生で最後のドライバーになるだろう。
必要な工具⑥ トルクレンチ
★★☆☆☆(こだわるのならあった方が良い)
スパークプラグやボルトなどの締め付けトルクをメーカーの既定値通りにするために使う。
トルクレンチは精密工具なので、普段から車載しない、使わない時は一番ゆるいトルクで保管するなどの管理が必要になる。
自分自身でトルクを管理するという、通称「手ルクレンチ」でも良いのだが、トルク管理をきっちりしたければ持っておくと使えるシーンも出てくるだろう。
特にサンデー整備士という普段から整備に従事しない方であればなおさらだ。
必要な工具⑦ エアーツールor代替品
★★★★☆(無いと大変)
プラグホール内を簡単に掃除するために必要。
単純に以下のようなもので十分だ。
交換に利用するスパークプラグ
JB23のスパークプラグは、その車両の年式によって2種類が存在している。
今回はNGKのRXスパークプラグを利用してたが、NGKのRXスパークプラグの場合、
H10.10~H20.6の車両:DCPR7ERX-P
H20.6~H30.7の車両 :LKR7ARX-P
ということで型式が異なる。
年式がH10.10~H20.6のジムニーにH20.6~H30.7の車両用のLKR7ARX-Pを取り付けてエンジンを始動させようとすると、プラグとピストンが接触してしまう。
結果的にエンジンに甚大なダメージを与える恐れがあるため、必ず適合型番を調べてから作業を行うこと。
スパークプラグ交換手順
ではここから実際のスパークプラグの交換手順をみていこう。
① インタークーラーのカバーを外す

エンジンフードを開けて眼の前に鎮座しているパーツを外す必要がある。
そう、JB23のプラグ交換にはインタークーラーを外す必要がある。

インタークーラーに付いている樹脂製のカバーを外す。
画像の通り管理人のJB23には以下のパーツをドレスアップ目的で付けている。
(なんとなく全体的に風が当たってそうな感じなので、性能的な効果は疑問ではあるが気に入っている)

こちらが外れた状態。特に難しいことはない。

② インタークーラーを外す
①が終わることでインタークーラーを外しにかかれる。

インタークーラーを外すためには以下の箇所を外す。
a.インテークパイプとサージタンクへ繋がるホースバンドを緩める
上記に記載した部分がどこのことかを理解する必要はない。
ようは以下の部分だ。

ここのホースバンドは緩めるだけで十分だ。
外してもらっても構わないが、緩めさえすればホースからインタークーラーは外れるので、作業終了までホースバンドを緩めたうえでズラしておけばそれで良い。
b.インタークーラー下部にあるボルトを外す
お次はボルトを外す。まずは表題の通りインタークーラー下部にあるボルトから取り掛かろう。

・・・と言っても分かりにくいかもしれない。
以下の箇所だ。

上記の赤丸で囲った箇所を10mmのソケットレンチ等で外す。
ラチェットハンドルとソケットレンチに50mmほどのエクステンションを組み合わせて外すのが一番効率が良い。
こういうのがセットになっている点が先にもご紹介したソケットレンチセットの良いところだ。
c.インタークーラー左上のボルトを外す
サージタンクという部品の近くにあるボルトを外す。

エンジンに正対してインタークーラーを見た時の左奥(インタークーラーの左上)近くにあるボルトだ。

管理人の作業の流れで言うと上記②bで外したまま行うため、ラチェットハンドルとソケットレンチに50mmほどのエクステンションを組み合わせをそのまま利用することになる。
もちろん、外せるのであれば一般的なレンチなどを使っても問題はない。
ここまでやればインタークーラーは水平方向に手前に引っ張ることで外れる状態になっている。
ホースを外したうえで取り外しをしてみてほしい。
(参考)インタークーラーが外れた状態
インタークーラーが外れると以下のようになる。

この状態は非常にリスキーだ。
ぽっかりと口を開けているホースからなにかの異物が入った場合、タービンやエンジンの損傷に繋がりかねない。
ということで、適当に詰め物をしておこう。



③ インタークーラーのステーを取り外す

イグニッションコイルを取り外す時に邪魔になるので、外した方が楽に作業ができる。
わざわざ外さなくてもやる方法はあるのだが、せっかくの日曜整備だ。外せるものは外して車両状態の確認をするのも悪くないだろう。


例のごとく外す場所がわかりにくい。具体的には以下だ。
3個所あるが、すべて10mmのボルトだ。
やや奥まった箇所にあるので、場所によってはエクステンションバーを利用する必要がある。



④ イグニッションカバーを取り外す
作業ももうすぐだ。
エンジン上部にあるイグニッションカバーという黒い樹脂製パーツを外そう。
ちなみにこのイグニッションカバーは脆く、割れている場合がある。
まぁ割れていてもそこまで困るパーツでは無いのだが、割れを確認したら交換をしても良いかもしれない。

このイグニッションカバーだが、ソケットトレンチの肉厚があるとやや外しにくい。
無理やり出来はするのだが、気になるのであれば肉厚が薄い8mmのソケットレンチを購入しても良いだろう。
ソケットレンチはいくつあっても良いものだ。


⑤ イグニッションコイルを固定しているボルトを外して引き抜く
核心部に行こう。
イグニッションコイルは12mmのボルト一本で固定されている。
これを外す。

イグニッションコイルを引き抜く際には慎重に。必ず垂直方向へ抜くこと。

⑥ プラグホール内を清掃する

イグニッションコイルを取り外すと、よく見えないがこの内部にはスパークプラグがある。
つまり、スパークプラグを抜くとエンジンの内部空間に直接アクセスができるような状態だ。
イグニッションカバーが割れていなければ大きな異物は無いはずだが、念の為この時点でエアーなどでプラグホール内の異物を吹き飛ばしておく。

⑦ スパークプラグを取り外して交換する
ここまで順調に進めばおよそ15分程度でできるようになる。
スパークプラグはそれなりのトルクで締め付けてあることが多いため、しっかりと自身の緩めるトルクが伝わるように慌てずにスパークプラグを外そう。

スパークプラグを外した状態。ちょうどよい交換時期だったように思われる。
なお、この瞬間はエンジン内部がガッツリと開いている状態なので、あまり悠長にせず、新品のスパークプラグを取り付けた方が良いだろう。

取り付け前には必ず交換前と交換後のスパークプラグが同様の形状をしているかを確認すること!
上記の通り、スパークプラグを取り外した状態であまり長く放置しておくのは精神衛生上よろしく無いので、管理人は以下の通りの手順でやっている。
- 1番シリンダーのスパークプラグを取り外す
- 1番シリンダーのスパークプラグを取り付ける
- 2番シリンダーのスパークプラグを取り外す
- 2番シリンダーのスパークプラグを取り付ける
- 3番シリンダーのスパークプラグを取り外す
- 3番シリンダーのスパークプラグを取り付ける
ようは「一度全部のスパークプラグを外した上で取り付けを行わない」ということだ。
正直順番はどうでも良い。
スパークプラグの締め付けトルクについては必ずスパークプラグのパッケージに記載されているトルクを必ず確認すること!
通常はスパークプラグが座金に当たってから180度回転させるか、15~20Nm程度のトルクになっているはずだ。

スパークプラグの焼け色について
スパークプラグの焼け色はエンジン内部の状態を確認するのに非常に役に立つ。
以下にNGK公式サイトに掲載されている焼け色についての解説画像を掲載する。

白過ぎても黒過ぎてもダメ、ということだ。
一般的にはきつね色くらいが良いとされている。
(参考)1番スパークプラグの状態

非常にちょうど良い焼き具合。エンジン内部は良い状態そうだ。
(参考)2番スパークプラグの状態

JB23あるあるで2番シリンダーが調子が悪くなることがある。
ご覧の通りでスパークプラグのネジ山の部分にオイルが回っていることが確認できる。
次回スパークプラグを交換する際にはパッキンの交換が必要そうだ。
(参考)3番スパークプラグの状態

こちらも問題なし。良い焼け具合である。
⑧ 組み付け直す(⑥→⑤→④→③→②→①の順)
基本的には上記に記載した通りの順番の逆順で組み付けて貰えれば大丈夫だ。
強いて言うならばインタークーラーの取り付け方だ。

インタークーラーのステーの部分に入れれば良いだが、イメージ的には以下の通りだ。

ステーの穴の位置をしっかりと意識しながら取り付けよう。
まとめ
今回はJB23のスパークプラグの交換を行った。
画像も大量に撮影したので、初めての方でも困ることは少ないと思う。
少々気をつけなければいけない部分もあるが、作業自体は非常に簡単であるため、日曜整備でも非常にやりやすい作業の一つだ。
慣れれば1時間はかからないので、チャレンジしてみも良いだろう。
何よりも自分自身でこういったことができると車へも愛着が湧く。