【レザーマンVSビクトリノックス】マルチツールの各メーカー毎の違いについて

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マルチツール(”十徳ナイフ”という表現もあるが、本稿では”マルチツール”で統一する)を初めて購入される方は「どのメーカーにしたら良いの?」と悩むことがあると思われる。

各メーカー毎に様々な種類のマルチツールが販売されているため、正直な話をすればご自身が想定する用途を満たせるマルチツールを買われると良いと思うのだが、本稿では敢えてマルチツールの宗教論争とも言われる「レザーマン」と「ビクトリノックスヴィクトリノックス)」の違いにだけフォーカスを当ててそれぞれのメーカーの設計思想の違い等を記そうと思う。

両社の歴史について

レザーマン(LEATHERMAN)

ティム・レザーマンという人物がヨーロッパ旅行中に車の故障を修理する際に「ナイフだけでは足りない」ことを痛感し、プライヤー機能を中心としたマルチツールを開発したことが始まりだ。

設立は1983年、アメリカのオレゴン州ポートランドという所で産声を上げたメーカーである。

ビクトリノックス(VICTORINOX)

ビクトリノックスは元々はナイフ工房であった。

設立は何と1884年。レザーマンよりも100年前からずっと存続するメーカーである。1891年からはスイス陸軍に納品するためのナイフを開発。そして1897年にはオフィサーズナイフという現在のマルチツールの原型を開発したことで有名になる。

開発思想の違い

レザーマン(LEATHERMAN)

レザーマンの開発思想としては「徹底した実用主義」が挙げられる。

レザーマンは「作業を行うためのツール」として開発されており、グリップ感やプライヤーの握力等が十分に実用レベルに使える程の剛性と耐久力を有しているものが多い。

ヴィクトリノックスと比べると機能は少ないことが多いが、一つ一つのツールが普通に使えることがヴィクトリノックスとの一番の違いだ。

ビクトリノックス(VICTORINOX)

ビクトリノックスの開発思想は「多機能性とコンパクト性の両立」と言えるだろう。

ビクトリノックスは「如何に大量のツールをコンパクトに収めるか」を軸に開発されており、特に日常でも使うようなライトやボールペン、ピンセット、爪ヤスリ等細かなツールが多い。

ビクトリノックスは日常使いに利用できるようなツールが多く収容されているツールということだ。

材質・品質・耐久性の違い

レザーマン(LEATHERMAN)

レザーマンのマルチツールはほとんど全てにおいて420HCという鋼材を利用している。

この420HCという鋼材は非常に扱いやすい鋼材として知られている。砥ぐのも簡単だ。

ちなみに、上位モデルになるとS30Vや154CMという高級な鋼材を利用している場合もある。

鋼材については以下でも各種類毎にご紹介しているので良かったらご参考にしていただければ幸いだ。

ビクトリノックス(VICTORINOX)

元々ナイフメーカーであったという歴史から、ビクトリノックスの場合は自社開発をしたスイスステンレス鋼を各プロダクトに利用している。このスイスステンレス鋼は一般的に耐腐食性に優れた鋼材と言われることが多い。

これは完全に個人的にな意見だが、レザーマンと比べると工具の先端精度が高いものが多いイメージだ。また、ツールの展開についてもレザーマンよりも軽い力で行えるものが多い。

マルチツール論争のまとめ

簡単にではあるが、レザーマンとビクトリノックスの違いについてご紹介をした。

ここまでで記載している通り、各メーカー毎の特性はかなり異なっており、「マルチツールが欲しいけどどっちが良いの?」というような疑問には答えにくいところがある。

管理人的には以下のような整理をしている。

使用シーンレザーマンヴィクトリノックス
アウトドア◎(ハードな環境で真価を発揮)〇(軽量で日常用途に向く)
DIY作業・修理◎(プライヤー、ドライバーの性能が良い)△(力仕事には不向き)
登山・キャンプ△(重い製品が多い)◎(軽くてポケットにも収まるレベル)
日常使用△(重い製品が多い)〇(爪切りやハサミが便利)
サバイバル・ミリタリー◎(戦術特化モデル多め)△(サバイバルには貧弱)
EDC的な運用△(大きすぎる)◎(コンパクトなので、EDCに向く)

・・・ということで「いつ何があるか分からないし何か不安だからとりあえずマルチツールを持っておきたい!」というような方にはビクトリノックスを、完全に使用用途が決まっている場合であればレザーマンをお勧めする。

管理人はレザーマン系は4本、ビクトリノックスは3本持っているが、キャンプの時には必ずレザーマンを持っていく。

理由は単純でプライヤーが最高だから。

そんなにプライヤーを使うことなんて無いと思われるかもしれないが、管理人の場合は以下のようなシーンで利用する。

レザーマンをキャンプ中に使うシーン
  • 熱いものを持つ時(プライヤー)
  • やたら固くしまった細引きやロープをほどく時(プライヤー)
  • 食材の湯煎を行う時(プライヤー)
  • 瓶ビール開栓時(ボトルオープナー)
  • 食材の包装(ソーセージ等の若干固いヤツ)を破く時(ナイフ)

レザーマンのプライヤーをキャンプで使ってしまうと、レザーマン無しのキャンプライフが考えられない程になるレベルだ。

補足しておくと管理人はいつでもEDCツールを持ち歩いており、その中にはヴィクトリノックスも入っているため厳密には両刀使いのようなかたちにはなるのだが、キャンプ場でヴィクトリノックスを出すことはこれまでの18年程のキャンプ人生で一回も無い。

また、キャンプであれば車やバイク、公共機関等で移動するハズなのでそこまで重量も気にならないことがほとんどだと思う。そういった意味でもマルチツールをキャンプで使いたいんならレザーマンをお勧めする。

ビクトリノックスによくあるような機能でライトやボールペン等があるが、そんなものをキャンプ場で使うか?という話もある。

結局、冒頭にも記した通り、自身が想定する用途を満たせるマルチツール選びが重要、ということだ。

各シーン別お勧めマルチツール

キャンプ

前述の通り、キャンプであればレザーマンをお勧めする。

レザーマンをお勧めする理由はそのプライヤーの性能に拠るところが大きいのだが、ここで一点重要な注意点がある。

それは、プライヤーにスプリングアクション機構が備わっているものを選ぶことだ。

スプリングアクション機構が備わっていないプライヤーでも十分魅力的ではあるのだが、レザーマンのマルチツールを最大限活かすにはスプリングアクション機構がマストだ。

スプリングアクション機構無しのJuice CS4とスプリングアクション機構有りのOHT(管理人私物)

スプリングアクション機構とは、プライヤーを握って何かの作業が終わった後にグリップに内蔵されたバネによってグリップが初期位置まで戻ろうとする力が働く機能のことだ。

プライヤー支点部に何も無い
プライヤー支点部にバネが有ることが分かる

これが有るのと無いのとでは使い勝手が明確に違う。酒に酔っている時であれば尚更である。(笑)

ということで必要な機能を列挙すると以下のようなかたちになる。

  • スプリングアクション機構付きのプライヤー機能(前述の通り、多方面で利用する)
  • ナイフ機能(食材の包装を切る際等に利用する)
  • 栓抜き/缶切り機能(瓶ビールや缶切りを開封する際に利用する)

上記3つの機能があれば、何でも良い。

以前はLeatherman Style PSという(レザーマンにしては)小型なマルチツールがあり、それがスプリングアクション機構的なものが付いていたのだが、2023年に廃盤になったため、現時点の最安はおそらくWINGMANだろう。

登山

キャンプと異なり、登山においてはスプリングアクション機構付きのプライヤー機能なんぞ不要であろう。

つまり、レザーマン自体要らない。

大抵の食事はお湯を沸かしてアルファ米を食べたりすると思われるためだ。

熱いものを持つ時にもレザーマンのプライヤー機能は使えるが、わざわざスプリングアクション機構付きのものを持って行って重量増に苦しむのも微妙だ。

よって、登山ではどちらかと言えばビクトリノックスをお勧めする。

なんせレザーマンより軽量コンパクト(な物が多い)である。それと、ビクトリノックスにもスプリングアクション機構付きのプライヤーは存在している。プライヤー無しが考えられない身体になってしまったらそちらもお勧めだ。

念の為お伝えしておくと、ビクトリノックスでもプライヤー付きのプロダクトは存在している(スイスツール等)。

ただ、熱いものを持つ時には手ぬぐい等で頑張っていただいた方が重量的には楽になるのは間違いない。

そう考えていくと、そもそも登山でマルチツールを使うシーンがそれほど無いことに気付く。

本当にミニサイズのマルチツールを御守り的に持って行く。登山ではそれで良い、というのが個人的な総括だ。

あと個人的にはビクトリノックスの爪切りを激しくお勧めする。軽いので持っていっても良いだろう。

EDC・防災用品

EDC・防災用品EDCにせよ、防災用品にせよ、考え方のベースとしては「緊急時に使えて、持ち運びに邪魔にならないもの」だ。

そこで、ここでもビクトリノックスをお勧めしたい。

ビクトリノックスはレザーマンと比べると機能数が多い傾向にあるので、何かと重宝するのではないか、という仮説の基でのご提案だ。

当然機能数は多ければ多い程良いだろう。そこでこんなマルチツールがあるのでお勧めだ。

まとめ

だいぶ身も蓋もない話をしてしまったかもしれないが、マルチツールの2大メーカーであるレザーマンとビクトリノックスの違いをご紹介した。

日頃から積極的に使うことを考えるのであればレザーマン、緊急時のために持つならビクトリノックス、という棲み分けが個人的には一番妥当なラインかと思う。

ただせっかく買ったギアなら使いたいというのが男心だ。そういう意味ではレザーマンこそ最強だと管理人的には感じている今日この頃である。

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