秋キャンプ・冬キャンプについては様々な危険がある。
そこらへんの危険性については以下にも記載しているので、ご確認頂ければ幸いだ。
さて、キャンプマット(別名、スリーピングマット、シュラフマット。以下ではキャンプマットと表記する)は底冷えする秋キャンプ・冬キャンプの季節には最も重要なアイテムだ。
実は如何に素晴らしい冬用シュラフであったとしても、地熱からの影響をシュラフ単体で防ぐことは出来ない。
シュラフの弱点とキャンプマットの必要性
上記の記事にも記載したが、シュラフがそもそも暖かいのはデッドエアーをシュラフの中綿が蓄えるからだ。
このデッドエアーを蓄えなければ、如何に冬用シュラフとて、暖かくはならない。
さて、シュラフで寝る際、地面と人間の間にあるシュラフは人間の体重によってシュラフの中綿が潰されてしまう。
中綿が潰されたシュラフでは当然だがデッドエアーが蓄えられないため、結果的に底冷えを感じてしまうのだ。
これがシュラフの弱点だ。
当たり前ではあるが、シュラフが保温性を保つためにはデッドエアーが蓄えられる程の空間が必要なのだ。
ここで使われるのがキャンプマットだ。
キャンプマットはシュラフの中綿が潰れたとしても機能する。シュラフと地面の間にキャンプマットを挟むことで、人体の熱が地面に放出されることを防いでくれる。
もちろん、ごつごつした地面で寝やすくするための空間を作ってくれる、というのもキャンプマットの重要な仕事だ。
キャンプマットの基礎知識
R値とは
R値(あーるち)という言葉をご存知だろうか。
これはキャンプマット界における基準であり、この値が高い程厳冬期の使用に適しているとされる。
R値が高いほど、そのマットは断熱力が高いといえる。
ただし熱を産み出すわけではないので、下がった温度を上げることはできない。あくまでも保温力があるシュラフに包まり、自分自身の体温を維持出来る程度には健康体である必要がある。
R値について正しい説明をすると、スリーピングマットがどのくらい熱を逃さないか、つまり断熱力を評価する指標のことだ。
実は分かりにくいことにR値には「旧R値」と「新R値」という2種類の値が存在する。
基本的には新R値の方が旧R値よりも低い値が出ることが多く、だいたい0.1~1.0くらいの差がある。
旧R値は各メーカー毎の独自基準であったが、新R値では統一基準として整備されているので、購入するキャンプマットのR値がどちらの基準のR値なのかは念のためスタッフ等に確認をすると良いだろう。
ちなみに新R値を定義した国際基準をATSMF3340-18という。

ATSMF3340-18の試験動画とその規格についての説明、シーズンごとの使い分けについては以下の動画が分かりやすい。
R値毎の対応シーズン
以下の画像が大変わかりやすいのでご参考にしていただきたい。

大体の解釈で言うとR値が4以上のキャンプマットを利用すると秋キャンプ、冬キャンプでも問題ない、というイメージだ。
R値は足し算が可能
どういうことかと言うと、例えばあるキャンプマットのR値が2.2、もう一つのキャンプマットが4.0の時、その2つを重ねて使用することでR値が6.2になり厳冬期の使用にも耐えるレベルになる、ということだ。
R値が高いキャンプマットは高価なものが多いが、3シーズン向けのキャンプマットを2枚重ねればそれだけでも厳冬期の使用にも耐えられるレベルの断熱性能を確保することが出来るのだ。
キャンプマットの種類
キャンプマットには主にフォームタイプ、セルフインレータブルタイプ、エアータイプの3つの種類がある。
種類ごとの違い等について確認をしていこう。
フォームタイプ(別名:クローズドセルマット)
以下に記載する他の2つのタイプよりもコストが安いことがメリットだ。
また、構造上パンク等の心配が無いため、荒れ地でもパンクを気にせずに使うことが出来るというメリットもある。
デメリットを挙げるとすると、構造上コンパクトにならないことと、このテのマット一枚だと流石に晩秋~厳冬期は底冷えを感じる(R値が低いものが多い)というところだ。
といってももっともタフに使えるため、管理人はいつもフォームタイプのマットの上にエアータイプのマットを重ねて寝る、という方法で過ごすことが多い(こうすることでエアータイプのマットのパンクの心配が限りなく低くなる)。
セルフインレータブル(自動膨張)タイプ
セルフインレータブルタイプのマットはフォームタイプとエアータイプのマットのいいとこ取りを目指したような製品だ。
マット内部にウレタンフォームが入っており、空気バルブを開いてマット内部に空気が入るようになると、ウレタンフォームが膨らむため、口などから空気を入れなくても自動的にある程度膨張するのだ。
ウレタンフォームが構成材になるため、エアータイプのマットと比べてパンクをしても利用可能というメリットがある。ただし、寝心地は良くないため、正直微妙、というかほぼ使い物にならないと思ってもらって問題ない。パンクしたら速やかにパンク補修キットで修理をすると良いだろう(パンク補修キットも生地の質感等に応じて向き不向きがある。そのうちご紹介できればと思う)。
硬めの寝心地が好きな方はエアータイプのマットと比較検討して結局こちらのセルフインレータブルタイプのマットに落ち着く、ということもよくある(それほど優秀なプロダクトだ)。
デメリットはフォームタイプとエアータイプのいいとこ取りを目指した結果、他の2タイプよりも重量があるものが多いといったところと、やはりパンクをすると残念、というところだ。
エアータイプ
最もコンパクトで最も高級なマットが多い印象。
R値についても他の2つのタイプと比べると高いものが多い印象。マットのかさは空気のみで充填させるため、断熱シート等の採用等、生地の性能向上にだけコストを割けられるためと思われる。
デメリットは空気を入れること、というのが従来の定説であったが、最近は専用の空気入れやスタッフサックが空気入れになったりしており、自身の呼気を吹き込むということはなくなりつつある。
そして最も重要なデメリットはパンクをしたらただの布、ということだ。
絶対にパンクをさせないためにも、フォームタイプのマットとの併用を個人的にはおすすめしたい。
寝心地も良いものが多いが、カサカサと気になる音がする製品が多い印象。ただし性能向上が著しいのでそのうち無くなりそうではある(げんに一部の製品はほぼそのような音がしなくなってきている)。
各タイプのキャンプマットのおすすめアイテムのご紹介
フォームタイプ
NEMO スイッチバック
従来よりTHERMARESTという超ビックメーカーが席巻していたこのフォームタイプのマット界隈に殴り込みを掛けてきた期待の星だ。
THERMARESTよりも安く、格安なフォームタイプのマットよりはしっかりしている。というか晩春~晩夏あたりまでならこれ一枚で十分である(R値2.0)。
その独特な構造からデッドエアーを溜め込める部分が多く、型崩れのしにくさも相まって非常にタフに使える。
かつてはTHERMAREST一択であったが今とりあえず最初に買うべきフォームタイプマットとしてはこちらのスイッチバックをおすすめしたい。
THERMAREST Zライトソル
アウトドア店員で知らない人は一人もいないどころか、アウトドアが初めての方でも「リュックについているヤツでしょ?」みたいな感じで抜群の認知度があるのがこちら。
Zライトという製品もあるが、そちらはアルミ蒸着がされていないタイプで、このZライトソルはアルミ蒸着もされている。アルミ蒸着されていると、それだけで断熱性が上がるので、どうせ購入するのであればZライトよりもZライトソルの方がおすすめだ。
なお、Zライトソルの正しい使い方は銀色の面(アルミ蒸着がされている面)を上(人体側)にして使い、黄色の面を下(地面側)にするのが正しい。
イメージ通りザックの外側に括り付けてキャンプや登山まで向かうと雰囲気が出るので、個人的にはそのスタイルをおすすめしたい。ただし、横幅が51cm程度あり、非常に狭い場所の通行時にはこのZライトソルが引っかかったり、不意に風に煽られたりする可能性もあるので、行く場所によってはザックの中に収納しておいた方が良い場合もある。
エバニュー Trail mat 180 EBA506
こちらはくるくると巻けるタイプのマットだ。
蛇腹折りが出来る上記2つのアイテムは、蛇腹折りをする都合上、一定間隔に溝があり、その溝から冷気を感じる場合がある。
このようなロールタイプのフォーマットだと、そのような溝が存在しないため、冷気を感じず安定的に過ごすことが出来る。
ただし、巻き癖がついてしまうと開くのが面倒というところと、蛇腹折りのフォーマットだと休憩時に座布団代わりに使うことが出来る等の理由から個人的にはあまり利用しない。
UL系の登山者が利用するザックは頑丈なフレームが入っていないタイプのものもあり、そのようなケースにこちらのマットをザックの内側に円筒状に配置し、その内部にパッキングをすると捗る模様(私はミステリーランチのテラフレーム等を利用しているので実際のところは不明だ)。
セルフインレータブル(自動膨張)タイプ
THERMAREST プロライト
THERMARESTが展開するセルフインレータブルマットの中で最も軽量でコンパクトなモデル。
女性用モデルのラインナップもあり、女性用モデルは冷えを感じやすい背中や足元の肉抜きを少なくし、コンパクトな収納性はそのままに断熱性をアップしている。
ただし重量は510gあり、やはり少々重い(とはいえ、車移動のキャンプであれば無視出来る)。
R値は2.4であり、晩秋~厳冬期の単体使用は厳しい。
THERMAREST プロライト エイペックス
同じTHERMARESTのセルフインレータブルマット。
ストラタコアフォーム(デッドエアーの蓄える場所とフォームの構成材を交互に配置した連続的な断熱フォームの層)というフォーム形状を採用している。
R値は3.8であり、暑がりであればギリギリ冬でも使えるかもしれない(怪しいが…)。
重量は630gであり、先程ご紹介したプロライトよりも少々重い。車移動前提で利用する分には良いプロダクトだと思われる。
NEMO ZOR
ここ7,8年くらいNEMOはテント以外にも注力しており、その中でもなかなか優れたプロダクトだと思われるZOR(ぞあ)。
値段と軽量(450g)のバランスがセルフインレータブルタイプのマットの中では良好な部類であるので、おすすめできる。
ただしR値は2.7なので、シーズンによっては少々心許ない。2枚重ねをするという前提であるならば特に登山者向けのマットとしてはおすすめできる。
エアータイプ
THERMAREST ネオエアーXサーモNXT MAX
「餅は餅屋」とはよく言ったもので、「マットはマット屋」に任せるのが一番良いと管理人は考えている。
ネオエアーシリーズはこれまでもエアータイプのマット業界のパイオニアとして、数々の金字塔を打ち立てて来た。
こちらのネオエアーXサーモNXT MAXのR値はなんと脅威の7.3。スペック厨にはおすすめだ(私のことだ笑)。
ちなみにお値段も5万円とマットの中でMAXに高い。
ただし、プロダクトとしては完成の域に達しており、このR値なのに重量は650gだ。
私はこちらのアイテムを実際に利用しているが、底冷えを感じたことは過去一度も無かった。また、空気を入れる弁が従来のTHERMAREST製品から進化しており、非常に使いやすいのもポイントだ。
確かに650gと聞くと重いと感じるとは思うが、逆に言えば650gで絶対に底冷えを感じない安心感が手に入るので、そこは個人の好みも出ると思わる。
ちなみにこちらのマットの底の生地は70Dであり、今日の一般的なテントよりも分厚い生地を利用している。管理人は流石にパンクが怖いので下に何かしらを敷くが、70Dもあればパンクの心配もかなり減る(その分、重量が増加しているが)。
THERMAREST ネオエアーXライトNXT
先程ご紹介した「THERMAREST ネオエアーXサーモNXT MAX」と少々異なる製品だ。
こちらが正統派THERMARESTのエアーマットと目されることが多い。
ネオエアーXライトNXTは、重量なんと354g。ネオエアーXサーモNXT MAXから300gも軽量である。
肝心のR値は4.5であり、よほどのバッドコンディションでなければこちらで十分である。
お値段は4万円であり、ネオエアーXライトNXT MAXより1万円安い(そういうことを考えていくとどんどん財布の紐がゆるくなるので、ご注意願いたい。笑)。
従来あったカサカサとした音がかなり低減され、就寝中でも気になることが減った。
NEMO TENSOR INSULATED REGULAR MUMMY
R値4.2、お値段3万円、重量450gという、ネオエアーXライトNXTと比べてもR値がちょっと落ちて重量がちょっと増えた的なエアーマットだ。
金額的なバランスは悪くないが、THERMARESTと比べてしまうと若干見劣りはするスペックではある。
しかし、他メーカーのエアーマットと比較してもカサカサとした音がかなり低減されてあったり、就寝時に指一本で硬さ調節が可能であったり等、R値、金額、重量というスペック上だけでは測れない良いプロダクトである。
UL系ではない、登山中心のキャンプであるなら、個人的にはこちらをおすすめしたい。
まとめ
今回は多くの方に知っていて欲しいキャンプマットの知識を中心に、おすすめできる定番のキャンプマットをご紹介してみた。
他にもSEA TO SUMMITやXPED等から魅力的なキャンプマットは登場しているが、今回はメジャーどころのご紹介ということで割愛した。
是非皆さまの良いキャンプマット選びの一助になったら幸いだ。


